野球

プロ野球の開幕投手をエースが投げるホントの理由

こんにちは、よしみ(@saltrice1225)です。

今年ももうすぐプロ野球が開幕しますね。

プロ野球の開幕戦では、初戦に各チームのエースピッチャーが登場することが多いです。

少し野球に詳しい人だったら、こんな違和感を持ったことありませんか?

両方のチームがエースをぶつけ合ってたら、ただのつぶし合いになるし効率悪そう。

プロ野球では、基本的に1カードを3連戦行うという形で試合日程が進んでいきます。

年間140試合あたりの試合数があるので、当然すべての試合に勝つなんてことはまず不可能。

それなら、確実に勝てる試合だけを取りに行った方がトータルで勝ち越せる可能性が高まります。

つぶし合って3戦全敗のリスクをとるより、初戦を捨て2戦目あたりにエースを投げさせて確実に1勝を確保した方が良さそうですよね。

なのに、どうして「開幕投手=エース」という図式が出来上がっているのでしょうか?

単なる興業パフォーマンスとして慣習的に行われているだけと思われがちですが、実はちゃんとした意味をもって成り立っていました。

この理由を知っておくと、開幕戦の見方が変わるだけでなく、初心者でもより深みをもったシーズン順位予想ができるようになるでしょう。

私たちが思っている以上に、開幕投手は非常に重要な役割を担っています。

リーグ優勝と開幕戦勝利は関係あるの?

よく、「開幕戦を勝つことは重要」と言われます。

シーズンを占う初戦とはいえ、ここで勝つことによってどれだけの影響があるのかイマイチよくわかりませんよね。

「開幕戦で勝ったチームは優勝しやすいのか?」

ということで、直近の2008年~2017年の10年分データをもとに検証しました。

まずはセ・リーグ

あ、あれ・・・?

2013年~2015年を除くと、すべてのリーグ優勝チームが黒星スタートをしていました。

リーグ優勝をしたチームが開幕戦に勝利している確率は、およそ33%です。

次にパ・リーグ

お、おかしい・・・

セ・リーグに比べると勝利の割合が若干増えてはいますが、確率にしても40%とそこまで大きな差はありません。

むしろ、開幕戦の勝利とリーグ優勝にはほぼ関係がないということがわかりました。

それでは、実際にどんな投手がここ10年で開幕投手を務めてきたか確認してみましょう。

12球団の歴代開幕投手(2008~2017)

 

表の赤字部分(当時のエース)を見てもわかるように、ほとんどの球団が開幕投手にエースを起用しています。

エースが投げてない年度についても、故障による離脱を理由に登板回避しているケースがほとんどです。

たとえば、2012年のオリックスは当初開幕投手にエース金子投手の起用を明言していましたが、故障による離脱を余儀なくされフィガロ投手が代役を務めています。

このことから、近年のプロ野球においても「開幕投手=エース」という図式は根強く残っていることがわかります。

開幕戦がエースじゃなくても優勝してる

ここで、もう一度2つのリストを照らし合わせて確認してみましょう。

そのときエースじゃなかったピッチャーが開幕投手を務めているのに、優勝しているチームが意外と多いことが発覚しました。

その1.2013年 則本昂大(楽天)

2013年はセ・リーグ優勝の巨人もエース・内海投手ではなく若手の宮國投手が開幕投手だったので、エース以外が開幕投手だったチーム同士の日本シリーズになりました。

現ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手がシーズン24勝0敗という前人未到の記録を残しましたが、実はこの2013年の開幕投手は田中投手ではなく、なんと入団したばかりのルーキー・則本昂大投手だったのです。

プロ初先発こそ勝ち星を逃すものの、ルーキーイヤーの則本投手は15勝8敗と堂々のパ・リーグ新人王を受賞

田中投手が2014年に海に渡ってからも4年連続で開幕投手を務め、現在も楽天のエースの座を一度も奪われることなく君臨しています。

その2.2017年 和田毅(ソフトバンク)

圧倒的な戦力を誇るソフトバンクで、2017年の開幕投手に選ばれたのはベテラン・和田毅投手

メジャーリーグから復帰したばかりの2016年、15勝5敗の成績で最多勝と最高勝率のタイトルを獲得しており、エースとして十分すぎるほどの好成績を残しています。

ですが、ソフトバンクの投手層の厚さはエグいです。

同じ2016年に育成選手出身の千賀滉大投手が、「おばけフォーク」を武器に12勝3敗、防御率2.61(リーグ3位)、181奪三振(リーグ2位)と大ブレークを果たしました。

しかも、規定勝利数にわずか1勝届かなかったためタイトルこそ逃したものの、勝率は.800と和田投手(.750)を上回る数字を残しています。

2017年には侍JAPANのメンバーとして大活躍し、2017年WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の大会ベストナインに唯一日本代表選手から選出され知名度もグーンと急上昇しました。

2017年シーズンの開幕投手に選ばれた和田投手は、好投した直後にケガで長期離脱。

8月末に復帰して計8試合の登板で4勝0敗とチームの優勝に貢献したものの、シーズンを通しての活躍はかないませんでした。

一方で千賀投手は、WBCでの勢いをそのままにシーズン13勝4敗の成績を残し、勝率も.765と最高勝率のタイトルも獲得

DeNAとの対戦になった日本シリーズの第1戦にも登板し勝利、ソフトバンクの2年連続日本一に大きく貢献しています。

過去の実績を踏まえても和田投手がエースだという声ももちろん多くありますが、大事な場面で任されることの増えた千賀投手が現在のエースといえるでしょう。

その3.2012年 斎藤佑樹(日本ハム)

かつて「ハンカチ王子」として社会現象も巻き起こした日本ハム・斎藤佑樹投手も、2012年の開幕投手を務めてチームを勝利に導いています。

しかしその後は失速し、チーム自体はリーグ優勝に輝いたものの、斎藤投手は2012年シーズンを5勝8敗という主力投手としては物足りない成績で終わりました。

知名度が高いわりに日本ハム入団以降は思うような成績が残せておらず、過去のビックマウス発言等もあり心無いバッシングを受けることが多い斎藤投手。

過去の栄光に苦しみながらも地獄から這い上がろうともがいている斎藤佑樹投手を、私よしみは応援しています。

このように、「次世代のエース候補」が現エースを差し置いて開幕投手を務め優勝するというパターンが近年増えているのです。

エースじゃなくても、チームにとってキーマンとなるピッチャーが選ばれていることには変わりありません。

 

名将・落合博満監督の英断

また、レアケースとしては2004年の中日ドラゴンズの例があります。

ファンの期待を裏切り、バッシングを浴びた川崎憲次郎

この年の中日ドラゴンズの開幕投手は、川崎憲次郎投手

1990年代にヤクルトスワローズの黄金期を支え、1998年には沢村賞最多勝のタイトルを獲得するなど球界を代表するピッチャーでした。

しかし、2000年オフに中日ドラゴンズにFA移籍してからは右肩痛の影響で2001~2003年の3年間登板ゼロという屈辱を味わっています。

2003年のオールスターゲームでは、「川崎祭」と称されるネット投票による悪質な組織票事件があったことでも有名です。
(川崎投手はこの年の先発投手部門で投票数1位となりましたが、出場は辞退しています。)

度重なるケガの状態が一向に良くならず、入団決定の際に大きな期待を抱いていたドラゴンズファンを裏切る形となってしまった川崎投手。

しかし、2004年から中日の監督に就任したばかりであった落合博満氏が2004年の開幕投手に選んだのは、川崎投手でした。

就任1年目・落合監督にも降り注ぐバッシングの嵐

「(当時絶対的なエースだった)川上憲伸の間違いでは?」

ドラゴンズファンに限らず、多くのプロ野球関係者は目を疑ったことでしょう。

落合監督が川崎投手に対して、キャンプが始まる前の1月頭に直接電話で開幕投手に指名したといわれています。

もちろん川崎投手のケガが完治しているとはいいがたく、開幕までに本来のピッチングをできるようになるのかもわからない状況。

2003年に成績不振で解任された山田久志氏の後を継ぎ、チームの改革を任せられた落合監督はサプライズにもほどがある決断を下しました。

当然、落合監督に対する批判はすさまじかったことを覚えています。

「ここ数年投げてすらいない引退寸前のピッチャーを開幕投手にするなんて、わざと負けに行ってるようにしか思えない」

「開幕投手川崎」落合監督の戦略

ですが、あえて川崎投手を開幕投手に指名した理由を、落合監督は以下のように語っています。

「皆、彼が投げたくても投げられなかった時期を知っていましたからね。彼の無念の思いに報いようとチームが団結したんです」

「このチームが生まれ変わるには、3年間もがき苦しんだ男の背中を押すことが必要だったんだ」

二宮清純「プロ野球「開幕投手」エースをめぐる物語〜その座を奪い、奪われて…」より引用

一見、この「開幕投手川崎」は奇襲のように思えてしまいます。

ですが、落合監督が川崎投手に求めていたのは、ボロボロになってもチームのために立ち向かう姿だったのです。

落合監督が就任するまでのドラゴンズは、星野監督時代の1999年に一度優勝していながらも「万年2位」というイメージが強く、そこそこ強いはずなのになぜか優勝できない惜しいチームでした。

一歩踏み込めなかったチームの意識を変えるには、3年間屈辱を受け続けた川崎投手のパワーこそ必要になる。

でも川崎投手がどこまで投げられるかもわからないし、初陣からいきなり黒星スタートになる可能性の方が圧倒的に高い。

中日ドラゴンズ、落合監督にとってもかなりリスクの高い方法で、「開幕投手川崎」という賭けに出たのです。

名将・落合博満のはじまり

結果、先発の中日・川崎投手は二回途中でノックアウト、先発投手としての役目を果たせないままマウンドを降りる。

しかし最終的に中日は8-6で逆転勝利を決め、エース・黒田博樹投手を擁する広島を破りました。

川崎投手の無念を晴らすためにも絶対に勝たなければならない、落合監督率いる中日ドラゴンズがチームとして一致団結した瞬間でした。

川崎投手が初陣でメッタ打ちにされた2004年、落合監督は就任1年目で中日ドラゴンズをリーグ優勝に導きました

そしてリーグ優勝を決めた翌日、川崎投手は2004年シーズンいっぱいでの引退を決断しています。

古巣ヤクルトを相手に1イニング3三振を奪った引退試合をもって、川崎投手はユニフォームを脱ぎました。

川崎憲次郎2004年シーズン成績:3試合0勝1敗、防御率34.71

選手として中途半端なカタチで引退をしたくなかった川崎投手と、その悔しさをチームのために昇華させた落合監督。

川崎投手は、開幕投手として結果を残せませんでした。

しかし、2004年に中日がリーグ優勝できたのは、ボロボロの姿を晒しながらもマウンドに立つ川崎投手の姿があったからです。

この川崎投手の例は、数多くある開幕投手に関するエピソードの中でもほんの一例にしかすぎません。

ピッチャーは、他のどんなポジションよりも高いプライドを持ち続けていないと成立しない特殊なポジションだと私は考えています。

だからこそ、「エースとして大事なチームの初陣を任されること」はとてつもないプレッシャーと責任を背負うことなのです。

開幕投手はチームの顔である証

近年は、「あえてエース以外に開幕投手を任せる」というパターンも増えています。

先述した元中日・川崎投手のような、選手としての進退を賭けて登板させる珍しいケースもありますが、どちらかというと「次期エースを育てるため」といった意図が多いと感じます。

2013年の則本投手(楽天)や2017年の有原投手(日本ハム)などが、まさにこのケースです。

DeNAにいたっては、三浦大輔投手という絶対的エースがいながらも、2014年までは毎年のようにコロコロ変わっていますよね。

現在は2016年にも開幕投手を務めた井納投手がエースとして活躍していますが、2017年には若手の石田投手を開幕投手に起用するなど試行錯誤が続いています。

昔のように「開幕投手=エース」という固定概念こそ薄れつつありますが、今年のチームの顔となる重要なピッチャーに開幕投手を任せていることには変わりありません。

直近の勝ち星だけを取りに行くだけなら、確かに一番良いピッチャーをわざわざ初戦にぶつける必要はないでしょう。

ですが、数年単位でチームを成熟させていくには、開幕投手という役割を任せることでチームの看板になるピッチャーを育てる必要があります

エースだから開幕投手というよりは、開幕投手を務めることによってエースの自覚を育てていく。

だからこそ、どの球団もチームの顔になるピッチャーが結果的に開幕投手になっているのです。

2018年シーズンの開幕投手予想

2018年のプロ野球シーズン開幕戦は12球団同時で、3月30日(金)です。

おまけになりますが、現時点で発表されている情報も考慮して私よしみが開幕投手の予想をしてみました。

とはいうものの、開幕直前ということもあり中日と広島以外は既に報道で発表済 /(‘ω’)\
(※赤文字が3/23時点での発表済み)

我が広島東洋カープはまだ確定情報が出ていませんが、順当にいくと3年連続で2016年沢村賞のジョンソン投手になるでしょう。

2017年シーズンは故障によりわずか6勝に終わったぶん、今シーズンの復活を期待しています。

※2018/4/4追記

中日の開幕投手は予想通り小笠原投手でしたが、カープは若きエース・野村投手が開幕投手を務めみごと勝利しました!

シーズン開幕まで、あと1週間。

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今年のプロ野球も絶対におもしろくなりますよ(‘ω’)ノ!

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