面白ネタ

【短編小説】あした地球がこなごなになったら

作者:よしみ(@saltrice1225)

昨日も一昨日もその前の日も、いつもいつも同じ光景を見ている気がする。

重いまぶたを開けたら、濃い青と淡いオレンジを汚く混ぜたような空間が視界いっぱいに広がっている。
風の冷たさだけは感じるのに、ボサボサに伸びた髪の毛はこれっぽっちもなびかなかった。

「・・・!(誰か・・・って、また声が出ない)」

周りを見渡しても建物はどこにもないし、人どころか生き物の気配すら感じない。
あぁこれ、僕がやっちゃったらしい。記憶になくても、そのことだけははっきりとわかっていた。

とりあえず、明るい方に向かって歩いてみよう。
ここ最近はずっと引きこもっていたはずだから、たぶん裸足だ。

あれ?おかしいな?

足を動かそうとした瞬間、足元がすっと消えていく。
消えていくというよりも、初めから何もなかったかのような錯覚に陥る。
毛布のやわらかい感触だけを残して、四肢の感覚が吸い込まれていった。

ん?なんでだ?

僕は今日も、一日中布団の中にいたはずだろう?

あれ?僕、布団の中になんていたか?

そもそも・・・あっ。そうだった。
僕は一瞬ですべてを理解して、現実に戻された。

たとえ僕が誰かの役に立たなくっても社会は回るし、誰ひとり困ったりはしないし損しない。
むしろ、僕なんかが入り込んでしまうと、整っていた歯車が狂い始め、さび付き、最後には崩壊しちゃうんだろうな。

別に僕だけに限った話ではないかもしれないけれど、逆にいえばこの予測はきわめて一般的であることの証明にもなる。
確かに、人はひとりでは生きていけない生き物だ。
とはいえ、代わりはいくらでもいる。
代わりになりたがる変な人だって腐るほど湧いて出てくるし、たかが1プレイヤーがゲームオーバーになって穴が開いたとしても一瞬で埋まるだろう。

僕じゃないとできないことなんて、絶対にありえない。
そう在りたいと願い血の滲む努力を重ねる人間に対峙したとき、空腹に負けるくらいの才能で僕は太刀打ちできるのだろうか。
現に僕が任されている任務を全うしたところで何かを得られるわけでもなく、いつものように胃をすり減らすだけでおしまいだ。
無理してるの?無理してるよ、ごめんなさい。

十年以上同じような屁理屈が頭を支配し続けるなんて、これっぽっちも生産性がない感情に縛られ続けるなんて。
すべてを投げ出したと勘違いしていた、あの中学生の頃からまるで成長していない。

「今度こそ」死んでやる。

何十回、何百回と繰り返し続けた禅問答は、未だに答えが出ないままだ。
体中あざだらけになるほど傷つけ、ため込んだラムネのような処方薬を一気飲みして、すべてを忘れた気になっていた。

それなのにいつもいつも、弱りに弱った肉体だけを残して答えが出ないのはどうしてなんだ!

口内炎がまた増えた。地味に痛いなぁ。

あーあ、またネムの価格が暴落してる。いつになったら月に飛んでくれるんだい。

大好きだったパンクロックを聴くのもなんだかしんどい、楽しかった頃が浮かぶ。

テレビのニュースもつまんないから、音量下げてテキトーな番組でも流しておこう。

あ、乃木坂の番組が始まった。これにしよ。

貴重な休日、何もしてないのに疲れたな・・・

重いまぶたを開けたら、鈍い青と浅いオレンジを汚く混ぜたような空間が視界いっぱいに広がっている。
やっぱり風が冷たい。昨日よりも少し、髪の毛が伸びたような気がする。

あ、誰かいる!

お前のことは知らないけど絶対に許さない、僕が壊してやる。壊してやる。壊しやがって。壊れてしまえ。

・・・またやっちゃったのかな、僕。

体がすーっと消えていくこの感覚もすっかり慣れ、なんだか心地よい。
静けさの中にとけていく「かいでんぱ」を、今日も手探りで宇宙船のどこかに描き留めていた。
明日にはきっと忘れちゃうんだろうなぁ。
僕の声が誰にも聞こえていないことは、薄々と勘付いている。

まだ朝も明けてないのに、終わりばかりを気にしてた。

 

~つづかない~

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人気プロブロガー&プロゲーマーCaptainJackさん主催の「ジャックナイト新宿」、よしみも参加します('ω')ノ
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